こんにちは!
座間店の三森です。
更新が久しぶりになってしまいました・・・
前回に引き続きグレープフルーツとお薬の相互作用についてお話したいと思います。
今回はグレープフルーツジュースと高血圧薬との
相互作用を検討した研究について紹介していきます。
グレープフルーツが体の中でどのようにお薬と相互作用を起こすかについては、
前回の記事を見ていただければと思います。
https://m-takano.blogspot.com/2020/10/blog-post.html
①グレープフルーツによりどのくらい影響が出るのか?
高血圧薬の中でもカルシウムブロッカーという分類のお薬は
グレープフルーツとの相互作用を起こしやすいと言われています。
グレープフルーツジュースで各薬剤を服用した時の体内動態を
水で服用した時と比べたデータがありますので以下に表で載せます。
薬剤(主な商品名) | 上昇率(%) | 相互作用の強さ | 添付文書の使用上の注意 | |
AUC | Cmax | |||
ニソルジピン(バイミカート) | 198-455 | 306-492 | きわめて強い | 併用注意 (同時服用は避ける) |
フェロジピン(スプレンジール) | 145-345 | 170-538 | ||
ベニジピン(コニール) | 212 | 198 | 強い | 併用注意 |
マニジピン(カルスロット) | 237 | 271 | ||
ニカルジピン(ペルジピン) | 132-196 | 125-153 | ||
ニトレンジピン(バイロテンシン) | 138-226 | 140-206 | 併用注意 (同時服用は避ける) | |
二フェジピン(アダラート) | 108-203 | 104-194 | ||
ベラパミル(ワソラン) | 129-143 | 98-161 | やや強い | |
ニホニジピン(ランデル) | ー | ー | ー | |
ニルバジピン(ニバジール) | ー | ー | 併用注意 | |
シルニジピン(アテレック) | ー | ー | ||
ジルチアゼム(ヘルベッサー) | 103-110 | 102-107 | 弱い | 併用注意 |
アムロジピン (ノルバスク、アムロジン) | 108-116 | 115 | 併用注意 (同時服用は避ける) |
表を見ていただくとグレープフルーツジュースで服用すると各薬剤で
AUC(血中濃度-時間曲線下面積)、Cmax(最高血中濃度)という値が上昇することがわかります。
AUCは体の中での薬剤の濃度、Cmaxはピーク時の体の中での濃度を表します。
つまり、ACU、Cmaxが上昇すると本来よりも薬の効き目が強くなる可能性があります。
このデータから分かるように、カルシウムブロッカーとグレープフルーツジュースを
同時に服用すると薬の効果が強くなりすぎる可能性があります。
特に、AUC、Cmaxの上昇率が高い薬剤については薬の効果が強く出過ぎて
血圧が下がりすぎてしまう場合があるので注意が必要です。
②時間を開ければグレープフルーツやグレープフルーツジュースを摂取してもいいの?
グレープフルーツやグレープフルーツジュースの効果は3-4日続くことが知られています。
グレープフルーツ摂取により小腸の代謝酵素が阻害されますが、
その代謝酵素が機能を約8割回復するまでに4日かかると報告されています。
時間を空けて摂取したとしても、お薬と相互作用を起こしてしまう可能性が高いです。
新しく上記の表のお薬を飲み始める方は「たまに」であっても摂取は避けたほうが良いでしょう。
今回はグレープフルーツと高血圧薬の相互作用についてご紹介しました。
高血圧薬でカルシウムブロッカーを服用されている方は参考にしてみてください。